『Gakucho Meet』

第4回 農学部教員編(令和2年10月)

最近の農学部の状況はどうなのか?

参加者A:

昔と比べると、コースの改編により教員1人あたりの受け持つ学生数が増えている中で、コロナ禍により学生実験の実施が難しくなりました。通常時は実験室に一斉に入れないため、2つに分けていますが、コロナ禍のため、4つに分けて順番にローテーションで実施しています。そのため、1人の教員につき、同じ実験を4回しなくてはいけない状態であり、かなり大変になりました。

学長:

 教育について今まで以上に労力や時間を割かないといけなくなると、研究に費やす時間が無くなってしまうと思いますが、どうですか?

参加者A:

 器用な方ではないので、今はどうしても教育の方に力が入ります。コロナ禍により前期は、ずっと授業の動画を作っていました。そのため、研究に割く時間がないため、学生に任せっきりになってしまっています。本当は研究がしたいと思っています。

学長:

 博士前期課程や後期課程の学生が研究室にいると、力を貸してくれると思います。

参加者A:

 残念ながら博士前期課程に進学する学生が少ないです。農学部では、大部分が就職してしまい、進学希望者が少ないのが現状です。

参加者B:

 大学院の進学については、参加者Aのとおりだと思います。世の中の流れ、新型コロナウイルスの影響で就職率が下がると、大学院進学率が増えてくるのではないかと思っています。このことを考慮すると、入学者の枠をどんどん狭くしていくよりも、現状維持がよいのではないかと感じています。

 また、学力も必要ではありますが、研究に意欲的な学生に大学院へ進学してもらえると、研究とうまく合致してくれるのではないかと思います。私の手が回らない時は、大学院生が戦力として頑張ってくれています。


農学部での最近の学生の状況は?

参加者C:

以前よりも、学生の成績が二峰性になる傾向が見られます。成績の優秀な学生が必ずしも実験うまいというわけではなく、成績がよくなくても、実験がうまい学生がいます。そのような学生はなんで?と疑問を持っていて、なんで?を突き詰めすぎて暗記ができない傾向にあるようです。

学長:

実験がうまい学生の成績は上がってきていますか?

参加者C:

 一度単位を落として、次の年に同じ授業を受け、一年前のテストで40点だった学生が80点になっていることがあります。単純にスピードについていけないようです。また、今はオンライン授業も実施しているため、いつでも質問が可能としていると、学生からの質問数が増えてきています。そうすると成績が上がってくる学生もいます。


大学が、農学部がこうしたらいいなと思うことは?

参加者D:

 こうなったらいいなと思うことは、外部への発信のことです。外部への発信が非常に難しくなったと思います。外から簡単に見ることができることはいいことで、頑張ってたどっていかないといけないようなホームページはよくないと思います。また、きれいなホームページを作ることは個人では難しく、お金もかかります。研究室によってはFacebookを使っているところもありますが、うちの研究室のホームページの更新は、まだ検討中です。ホームページは外部に向けて研究内容を出せる点で、学部または大学院への受験者や入学者の一助にはなるかと思います。

学長:

 一般の受験者が研究室や先生を見ることができるものを充実した方がよいと思います。


将来に向けて、鳥取大学をどんなことに取り組んでいけばよいか?

参加者E:

現状の問題とこれからどうしたらいいのかということは、一つに集約されており、大学院生、博士前期課程が重要であると思います。鳥取大学に入学してくる学生はいい子たちで人柄は良く、すれておらず、真面目です。何が足りないかというと自信がないことだと感じています。大学院へ進学すると、学会発表や投稿論文執筆、奨学金返還免除制度があり、奨学金返還免除制度を獲得した学生がいれば、頑張れば自分たちも獲得できるんだという意識に変わります。そうすると、論文を書くことや、学会で発表することが雲の上の存在から急にリアリティを帯びてきます。コースや学科、農学部全体で機運を高めていくと、学生が戦力になってくれると思います。

学長コメント 若い教員との会話の中で印象に残ったこと、共感したこと~

 大学院への進学者を増やすことが、研究力のアップや教育の質の向上につながります。それぞれの研究室が行っている研究内容の学外への発信が重要となります。