『Gakucho Meet』

工学部教員編(令和2年9月)

鳥取大学工学部の形はどういうものがいいのか?

参加者A:

工学部ではメーカーに就職したい学生が多い傾向があります。たくさん入学してもらうためには、就職状況が重要であると思います。時代の経過とともに、主要な産業は変わっていきますが、エンジニアを育成も重要だと考えています。そのために、卒業論文(以下、卒論)や修士論文(以下、修論)で訓練を受けて学ぶといった形を維持したいと思っています。物理や数学ができれば、就職先でも困らないため、2つの教科について入学時に選抜し、卒論や修論で訓練を受け、社会で活躍してくれるような人材の育成が工学部の社会の貢献になるかと考えています。

参加者B:

 現状では、3年生で研究室に配属されて4年生で就職して巣立っていくため、研究室の配属を早くすることにより、もう少しじっくり指導したいと考えています。また、研究室が変われるシステムがあった方がいいと思います。卒論の進捗を考えると高学年で変わるのは困ると思いますが、1年生や2年生で、お試しで配属し、変更したければ変更することもいいのではないかと思います。分野のミスマッチも当然ありますが、人間的なミスマッチもあります。人間的なミスマッチが発生すると、教員と学生の双方がかなりの労力を使うことになります。学生の自由度とマッチングのプロセスを増やしてもいいのかなと思います。



教育や研究の時間を確保するにはどうすればよいか?

また、10年後鳥取大学をどんな姿にしたいか?

参加者C:

 学科の中では、ああでもないこうでもないと議論する傾向があり、民間企業から来た先生が初めて見ると驚くという話を耳にしています。一見すると意見ができるというように見えますが、効率は非常に悪いと感じています。決められた方向性を学科内で共有し、教員は自分がやるべきことだけに集中してやっていくことがよいのではないかと考えています。

参加者D:

 10年後の鳥取大学の趣旨に沿って考えたことが2点あります。1点目は人件費の削減と外部資金の獲得増は相反する関係にあるということです。人件費が削減されると、教育や事務的な負担が増えて、そうすると研究に割く時間がなくなり、外部資金の獲得にはつながりません。新しいシステムを構築し、うまく循環するものがあればいいかなと考えています。

学長:

 おっしゃるとおりで、矛盾しています。外部資金は増やさなければならないが、人件費は減らさなければならない状況です。何かいい方法はないですか?

参加者D:

 統廃合を毛嫌いするよりも、統廃合をうまく活用すればいいのではないかと思います。例えば、ある分析を担当する大学に依頼してデータが出てくるようなシステムがあると、研究に割く時間をうまく回せるのではないかと思っています。

参加者B:

 例えばA大学やB大学でオンライン授業を実施すると、100人でも200人、300人でも同じことであるため、各大学に担当授業コマ数を割り振ることで、担当のコマ数を減らせるのではないかと思います。

参加者D:

続きになりますが、2点目は教育についてです。鳥取大学の学生は真面目だという話があり、そのとおりだと思います。もうちょっと野心的に、積極的に自分で勉強する姿勢であってほしいと思います。また、真面目と言いますか、先生の言っていることが正しいという認識で受け取っていると感じています。そうではないこともあるいうところも教えることができたらと考えています。

参加者E:

我々若手教員は参加者Cの意見にあったように、執行部にリーダーシップを持って決めていただきたいということをよく話しています。決めてもらえないことが正直一番困ります。決めてもらえれば、従うか、従わないかだけの話で、我々30代教員は、今の時代、気に入らなければ外に出ていくことができれば出ていく選択もあります。

大学の今後を考えるなら、新しく教授になった若い先生が今後この先鳥大をしょっていくためにも、この方々の意見を本気で聞いて汲み上げていく方がいいのかなと思います。


地域貢献という意味での研究のインパクトや関係性にお伺いしたい。

参加者F:

地域貢献は10年後、20年後に研究対象の地域をよくするかもしれませんが、研究としてのインパクトが乏しく、研究成果が出にくいと感じています。また、地域の方とお話ししているとすぐに使えるもの、この技術をこの地域に利用してというような研究をしてほしいという雰囲気を感じています。

学長:

大学の3本柱として教育、研究、地域貢献が挙げられ、教育、研究の次席として地域貢献があると思います。大学は国や社会の価値観に刺激を受けるところがあり、それは大学のいいところで、大学がいろんな新しい価値観を社会に対して、逆に発信していくことができます。地元の企業の方からのご相談を受けたり、共同研究をしていくことで地域貢献は育っていくのではないかと考えています。

学長コメント 若い教員との会話の中で印象に残ったこと、共感したこと~

 大学の教育力、研究力向上のカギは、会議の非効率化の解消と執行部のトップダウンが望まれていること、教員の教育、研究時間の確保のために他大学との連携による講義などの共同化、など具体的な問題提起がありました。また、当たり前ですが卒業生の就職状況が学生確保のカギを握ることになります。